ここは紅魔館。我こそ最狂…見事超えて見せよ!
 …あれ、台本が違うではないか!こっちが正しい方か…
 
ここは紅魔館。悪魔たちと我の実験成果共が放置されている館だ。我はそこに居ついている普通の魔女だ。異論は認めん。今日はレミ姐さんが親しい者を呼びパーティを開いているらしい。
…我?のけ者ですが何か。
 
と、そこに誰かが我の図書館内で正面から歩いてくる。
 
「これから貴様に生き地獄を味あわせてやる!」
「そう興奮するなw」
 
ずいぶんと血気盛んだが…まぁ落ち着いてみろ、と我なりに落ち着かせようとしたのだがな?
 
「ほざきやがれぇ!」
「死ねぇ!!」
 
何が不満だったのか知らぬが、悔しそうにした相手はその言葉をきっかけに火のついたマッチ棒をこちらへブン投げてくる。
…口だけは達者なようd…
 
―――ドゴーーン!!―――
 
床に着弾した途端、核爆発並みの威力が我を直撃する。その証拠に赤銅色のきのこ雲がもくもくと天井へあがってゆく。一体マッチ棒のどこにそんな火力があるのかは相手のみぞ知る。そんな攻撃を受け我はと言えば…
 
「ハッハッハッハ…」
全くの無傷。高笑いもしたくなるってほどの当然の結果だ。ざまぁ!w
 
「何ッ!?」
「死ねぇ!!」
 
驚きこそしたが仕損じたのが理解できなかったのか、あ奴は懲りずにすぐさまあのマッチ棒(核)をブン投げてくる。
 
――― ドゴーーン!! ――――
 
そしてまた繰り返される起爆。
…なんだぁ?そよ風でも吹いたのかぁ…?
 
「なぁぜだぁ?!」
 
あ奴の驚きが全身で表現されている。いい演技だZE☆
 
「こう見えても神様なのです、偉くて強いのです。とうっ☆」
 
そこに追い討ちで、わざとゆっくり言ってやることであ奴の精神的ダメージは更に加速した。
…うざい?ん〜?なんのことかな?
 
「…で、だ。一体いつまでこの茶番に付き合えばいいんだい?アリスさんや。」
 
懲りずにマッチ核をブン投げようとするあ奴…アリスさんに苦言を呈した。
当の本人はといえば…
 
「パッチェさんが勝ちを譲ってくれるまで」
「勝ちたいなら打ち倒せばいいだろう?」
「くっ…勝ちを譲ってくれないのね…なら私に勝ち目はないわ…」
「貧弱〜貧弱〜ww」
 
といつもの漫才をしていたところだった。
 
「ところでパッチェさん。」
「何か用かな?」
「今ここがどこだかわかる?」
「それほどでも…なに?」
 
テンプレを返そうと思ったが、言われて違和感に気づいてしまった我はらしくないことに中断してしまった。
そこに付けこみアリスさんがシリアスにつないでゆく。
 …言われるまで気付かなかったとは調子に乗りすぎたか…?
 
「二回目の爆発の際に違和感があった。無論私の意図したものじゃないわ。何かしらの転移の感覚はあったから、少なくとも私たちのいる部屋ごと転移しているようね。」
「…少々待っていてくれ。今使い魔を呼び出す。」
 
これが攻撃だとすればまずいものがある。少なくともこの部屋、我とアリスさんは元世界から隔絶されたと同義だ。
…もしかしたらレミ姐さん達とも離れ離れになってしまったかもしれないな…
そこで我は閃き、『吾輩は使い魔である。名前はまだない。』そんな感じの使い魔を我は契約していたから呼び出そうと召喚を試みる。
使い魔といっても下手な魔王より強力なんだが。因みに名無しなのは我が名付けてやっていないからだ。
…理由は単純にめんどいからなんだけどな!
 
だが、我はいつもそれを紅魔館のどこかにある、他の誰にも知らぬはずの秘密の部屋の探索に駆り出している。もしすぐに呼び出すことができたのならここと同じく飛ばされてきたのだろう。いくら我でも世界を超えた召喚はすぐには出来ぬからな…
 
「…ここに。」
 
そして予想が大当たり、すぐに現れてくれた。
…さっき名無しといったが、実際は昔使い魔にしていた小悪魔によく似ているからそのように呼んでいる。本人としては本名で呼ばれるのを諦めているそうだぞ?
 
「すまないが小悪魔、我はこれから部屋の外に出て館がどうなっているかを調べる。お前には外の様子を調べてもらう。」
「了解しました。…あと名前で呼んd」
 
ピシュン。うだうだ言われる前に部屋の外へ飛ばしてやった。なんだかんだ言って小悪魔だけは信用に足るし、あ奴も我を信用してくれている。無論、レミ姐さん達を疑ってたりするわけではないぞ?
 
「いいな〜私もパッチェさんみたいに使い魔が欲しいわ…」
「欲しければ『我と一緒に来れば世界をくれてやる』とか小さいこと言ってるやつはダメだぞ?パッチェさんからの忠告DA☆
…さて、我の予想だが、恐らく館全体が転移しているようだ。小悪魔を簡単に召喚できたのが証拠だ。となれば、レミ姐さんや禍も館内にいるはずだ。かなり計画的だろう、皆が集まっている時を狙ってきたんだからな。」
 
…そして犯人は、秘密の部屋の存在を知っている。知らなければ転移されることはまずない…あそこは紅魔館であって紅魔館ではない。それを知っているとなると…少々厄介だ。まず我の知り合いで知っている者はいない。万一踏み込もうとしてもダミーの部屋を踏ませてあるのでな。
 
「と、なると第一目標は彼女たちの無事確認ね。」
「そういうことだ。とりあえず外へ出て上を目指せばいいだろうな。その後は小悪魔と合流し皆と少しでも外の状況を共有し、その後の行動を決める。」
「分かった。巻き込まれてしまった以上協力するわ、パッチェさん」
「ありがとう、助かる…」
「礼なんてパッチェさんらしくn『…とでもいうと思ったのか?』」
「えぇわかっていたわよちくしょぉ!」
「ハッハッハ、さて、とにかく部屋を出ようではないか。我についてこい!」
 
さっさとアリスさんを連れて部屋の出入り口の扉へ歩いていくと、我が手を出さすとも目の前で扉が開いた。
 …あるぇ〜?自動ドアなんて親切にしていたっk『カチッ。』
 
―アンインストールが完了しました―
 
「ぱ、パッチェさん?!一体誰に…」
「あら?アリスさんじゃない。こんなところにいたのね、よかった…パッチェさんに何かされなかった?」
「レミさん?その手にあるスイッチぽいのは?」
「これ?これははた迷惑な奴を一押しするだけで簡単アンインストールできるボタンよ?」
「…パッチェさんの友人として言うけど、あなた達を探そうと…」
「パッチェさんがそんなにいいやつな訳がないでしょ?」
「でもアンインストールしたら何したか聞き出せないわよ?」
「あ……」
「パッチェさんェ…」
 
 
 
…くっそぉ、レミ姐さんめ…アンインストールされてしまっては再インストールに時間がかかってしまうではないか…しかしアリスさんがいてくれたのは不幸中の幸いというべきか?だがこれでレミ姐さんの無事は確認できた。あとはインストール完了すれば問題はなしか…それにしてもここまで広範囲の転移を可能で、しかも秘密の部屋を知っている者がいる…我らはとんでもない厄介ごとに巻き込まれてしまったのかもしれんな…
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